歯ぎしりによる顎関節症のリスクと治療！口腔外科出身の歯医者が教える

2023.06.2

顎関節症

―歯ぎしりは、歯を強く食いしばったり、摩擦させたりする習慣のことを指し、その継続的な行為は顎関節症のリスクを増加させる可能性があります。

歯ぎしりによる顎関節症のリスクは以下のような要素が関与しています。

まず第一に、歯ぎしりによって顎関節への負担が増加します。歯ぎしりは強い圧力を顎関節にかけるため、関節の摩耗や損傷のリスクを高めます。長期間にわたって続く歯ぎしりは、顎関節の軟骨や関連組織に慢性的なダメージを与えることがあります。

さらに、歯ぎしりは歯の損傷を引き起こす可能性があります。歯ぎしりによって歯同士が激しく接触し、歯の表面が摩耗したり、割れたりすることがあります。歯の表面が薄くなると、虫歯や歯の感染のリスクも高まります。

また、歯ぎしりによって頭痛や顔の痛みが引き起こされることもあります。顎関節の周りの筋肉が過度に緊張し、頭痛や顔の痛みが生じることがあります。これは歯ぎしりが継続することで起こることが多く、生活の質や快適さに影響を及ぼすことがあります。

さらに、歯ぎしりによって顎の周りの筋肉が過度に緊張し、顎の可動性が制限されることもあります。この筋肉の緊張は、顎関節症の症状を悪化させる可能性があります。顎の可動域が制限されると、口を開け閉めすることや食事を摂ることが困難になることがあります。

顎関節症の治療には、いくつかの方法があります。まずは、歯ぎしりの原因を管理することが重要です。ストレスや不良な噛み合わせなどが歯ぎしりの原因となることがありますので、ストレス管理や噛み合わせの調整を行うことで、歯ぎしりを軽減することができます。ストレス管理のためには、リラクゼーション法やストレス軽減の活動を取り入れることが役立ちます。噛み合わせの調整には、歯科医師が噛み合わせの問題を評価し、必要に応じて調整を行うことがあります。

また、マウスガードの使用も有効です。マウスガードは歯ぎしりの影響を和らげるために使用されます。歯科医師が適切なマウスガードを作成し、就寝時に使用することで、歯と顎関節への負担を軽減することができます。マウスガードは個別に合わせられるため、快適な装着感を得ることができます。

物理療法も顎関節症の治療に使用されます。温熱療法や筋肉のストレッチ、物理的な治療法などが使用され、筋肉の緊張を緩和し、顎の可動性を改善することができます。歯科医師や理学療法士による指導のもと、自宅で行うこともできます。

重度の顎関節症の場合、手術が必要になることもあります。手術は最終手段として検討され、顎関節の再建や修復を行うことがあります。手術は個別の症状と状態に基づいて行われ、医師との相談が必要です。

総じて言えることは、歯ぎしりによる顎関節症は個人によって症状や重症度が異なるため、適切な治療方法は個別の状態に基づいて決定されるべきです。歯科医師や口腔顎顔面外科医との相談を通じて、最適な治療プランを立てることが重要です。早期の治療は症状の進行を防ぐだけでなく、生活の質の向上にもつながります。

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