親知らずの抜糸は痛かった?痛みを感じる理由や抜糸の流れ・抜糸後の注意点を解説
親知らずの抜歯後に抜糸を控えていると、「抜糸が痛かった」という体験談を見て不安になる方もいらっしゃいます。
抜糸では縫合した糸を切って取り除くため、チクッとした刺激や引っ張られるような違和感を覚えることがあります。
ただし、感じ方には個人差があり、必ずしも強い痛みが生じるわけではありません。
本記事では、親知らずの抜糸で痛みを感じる理由や処置の流れ、抜糸後の注意点、歯科医院へ相談したほうがよい症状について解説します。

親知らずの抜糸は痛い?「痛かった」という人もいる

抜糸で痛みを覚えるかどうかは、傷口の状態や個人の感じ方によって異なります。
まずは、抜糸という処置の基本的な性質を確認しておきましょう。
抜糸では軽い痛みや違和感を覚えることがある
抜糸は「まったく痛みがない処置」と断定できるものではなく、軽い痛みや違和感を伴う場合があります。
糸を切るときや、切った糸を引き抜くときに刺激が加わるためです。
抜糸の際に、チクッとした瞬間的な刺激や、歯ぐきが引っ張られるような感覚を覚えることがあります。
一方で、ほとんど何も感じないまま終わる方も少なくありません。
痛みの有無や強さには個人差があるため、事前に処置内容を把握しておくことが大切です。
抜糸の痛みは傷口の状態によって異なる
同じ抜糸でも、痛みの感じ方に差が生じる背景には、傷口の状態があります。
治癒がどの程度進んでいるか、炎症や腫れが残っていないか、糸がどのようにかかっているかによって、刺激の伝わり方は変わります。
加えて、痛みに対する感受性そのものにも個人差があります。
そのため、抜糸時の痛みは一律ではなく、傷口の状態や痛みの感じ方によって異なります。
通常の抜糸では麻酔を使用しないことが多い
一般的な抜糸は、麻酔を使わずに短時間で終えられるケースが多くみられます。
糸を切って取り除くだけの処置であり、抜歯のように歯ぐきを切開したり骨を削ったりする必要がないためです。
ただし、患部の状態によっては麻酔を用いる判断がなされることもあり、必要性は歯科医師が診察のうえで決定します。
麻酔を使わないことは、強い痛みを我慢する処置であることを意味するものではありません。
関連記事:親知らずの抜歯後に口が開かないとき、抜糸は大丈夫?判断の目安6つ
親知らずの抜糸が「痛かった」と感じる主な理由

抜糸時に痛みを感じる背景には、いくつかの要因が考えられます。
代表的な4つの理由は、以下のとおりです。
- 傷口にまだ腫れや炎症が残っている
- 意図が歯ぐきに食い込んでいる
- 糸を引き抜く刺激に敏感になっている
- 抜糸前から傷口に痛みが残っている
順番に見ていきましょう。
傷口にまだ腫れや炎症が残っている
抜糸時に痛みを感じやすい代表的な状況が、傷口に腫れや炎症が残っているケースです。
炎症が起きている組織は敏感になっており、わずかな接触でも痛みとして認識されやすくなります。
そのため、糸に器具が触れた段階で刺激を強く感じることがあります。
腫れや痛みが強い状態が続いている場合は、抜糸の可否を含めて歯科医師の確認が必要です。
腫れや痛みが強い場合は、抜糸時に歯科医師へ症状を伝えてください。
糸が歯ぐきに食い込んでいる
糸が歯ぐきに食い込んでいる状態も、抜糸時の刺激につながります。
傷口は日を追って治癒が進み、歯ぐきの形や厚みは少しずつ変化します。
その過程で糸の周囲に組織がかぶさるように治ると、糸を取り除く際に引っかかる感覚が生じやすくなります。
こうした状態では、糸を取り除く際に一時的な痛みや違和感を覚えることがあります。
糸を引き抜く刺激に敏感になっている
抜糸時の痛みや違和感は、糸を引き抜く際の刺激によって生じることがあります。
糸は歯ぐきを通っているため、取り除く際にわずかに組織が動き、引っ張られるような感覚が生まれます。
この刺激を痛みとして感じるか、違和感として感じるかには個人差があります。
処置そのものは数秒から数十秒で完了するため、刺激が長く続くことは通常ありません。
抜糸前から傷口に痛みが残っている
抜糸の前から痛みが残っている場合、その痛みを抜糸によるものと認識してしまうことがあります。
横向きや埋伏した親知らずでは、歯ぐきの切開や骨の削除を伴う場合があり、抜歯後1週間程度まで痛みや違和感が残ることもあります。
抜歯後の経過による痛みと、抜糸の刺激による痛みは分けて捉えることが大切です。
どの時点からどのような痛みがあるのかを整理して伝えると、歯科医師も判断しやすくなります。
関連記事:親知らずの腫れのピークはいつ?抜歯後の経過の目安と腫れを抑えるポイント
親知らずの抜糸は何をする?一般的な流れ

抜糸の内容を事前に把握しておくと、当日の不安は軽くなります。
一般的な処置の流れは以下のとおりです。
- 傷口の治り具合を確認する
- 縫合した糸を切る
- 糸を取り除く
- 傷口を確認して処置を終了する
順に確認しましょう。
傷口の治り具合を確認する
抜糸は、まず傷口の状態を確認するところから始まります。
腫れや出血の有無、炎症の程度、歯ぐきの治癒具合などを診察し、抜糸できる状態かどうかを歯科医師が判断します。
治癒が十分に進んでいない場合には、時期をずらす選択がとられることもあります。
この確認は、適切なタイミングで抜糸するために必要な工程です。
気になる症状があれば、この段階で伝えておきましょう。
縫合した糸を切る
傷口の状態に問題がなければ、縫合した糸を専用の器具で切っていきます。
使用するのは先端の細い剪刀(せんとう)やメスなどで、歯ぐきを必要以上に刺激しないよう、糸の位置を見極めながら丁寧に処置します。
糸を切る処置は通常短時間で行われますが、痛みの感じ方には個人差があります。
複数箇所を縫合している場合は、順に一本ずつ処置を進めていきます。
糸を取り除く
糸を切った後は、ピンセットなどを用いて糸を静かに取り除きます。
糸は歯ぐきを通った状態にあるため、引き抜く際に軽い刺激や引っ張られる感覚が生じることがあります。
この工程が、抜糸で最も感覚を覚えやすい場面です。
糸を取り除く際に痛みを感じた場合は、我慢せず、その場で歯科医師に伝えてください。
傷口を確認して処置を終了する
すべての糸を取り除いたら、最後に傷口を確認して処置を終えます。
糸の残りがないか、治癒に問題がないかを目視で確かめ、必要に応じて洗浄などの処置を行います。
あわせて、その後の過ごし方や清掃方法について説明を受けるのが一般的です。
抜糸をもって一連の治療が完了する場合もあれば、経過観察のために再度の来院を案内される場合もあります。
親知らずの抜糸はいつする?一般的なタイミング

抜糸の時期は、傷口の治癒に合わせて決まります。
目安とあわせて、注意しておきたい点を確認します。
抜歯から約1週間後が目安
抜糸の時期は、抜糸は、抜歯から1週間前後がひとつの目安です。
この時期になると傷口の治癒がある程度進み、糸の役割を終える段階に入るためです。
ただし、抜歯の難易度や傷口の大きさ、治癒の進み具合によって適切な時期は前後します。
実際の来院日は歯科医院から指定されるため、自己判断で早めたり遅らせたりせず、案内された日程で受診しましょう。
抜糸をせず長期間放置するのは避ける
指定された抜糸の日を過ぎて放置することは避けてください。
糸は口の中に残る異物であり、その周囲には汚れがたまりやすくなります。
清掃が行き届かない状態が続けば、歯ぐきへの刺激や炎症につながる可能性も否定できません。
都合が合わず来院できないときは、放置せず歯科医院へ連絡し、日程を調整することが大切です。
予定を早めに共有しておくと、無理のないスケジュールを組めます。
自然に溶ける糸では抜糸しない場合もある
縫合に用いる糸の種類によっては、抜糸を行わない場合があります。
吸収糸を使用した場合は、時間の経過とともに糸が分解・吸収されるため、抜糸が不要なことがあります。
つまり「糸がある=必ず抜糸が必要」とは限りません。
いずれの場合も、気になっても、自分で糸を引っ張ったり切ったりしないでください。
判断に迷うときは歯科医院へ確認しましょう。
親知らずの抜糸前に痛みを悪化させないためのポイント

抜糸までの過ごし方は、当日の痛みにも影響します。
日常生活で意識したい4つのポイントを紹介します。
傷口を舌や指で触らない
特に抜歯直後は、傷口を舌や指で触らないことが大切です。
抜歯後の傷口には血液が固まった血餅が形成され、強く触れると剥がれるおそれがあります。
糸の感触が気になって舌で確かめたくなる場面もありますが、刺激は治癒を遅らせる要因になりかねません。
糸を引っ張る行為は特に避けてください。
傷口への不要な刺激を避け、歯科医院の指示に従って過ごしましょう。
強いうがいを繰り返さない
特に抜歯当日は、強いうがいを繰り返さないよう注意が必要です。
勢いのあるうがいは血餅を洗い流してしまい、傷口の回復を妨げる要因になります。
口の中の不快感が気になるときも、水を含んで静かに吐き出す程度にとどめましょう。
洗口剤の使用や清掃方法については歯科医院から指示が出ることもあるため、その内容を優先してください。
処方された薬は指示どおりに使用する
抗菌薬や鎮痛薬が処方された場合は、指示された用法・用量を守って使用します。
抗菌薬は感染を防ぐ目的で処方されるため、症状が落ち着いたからといって自己判断で中断するのは適切ではありません。
鎮痛薬についても、痛みが強いからと定められた量を超えて服用することは避けます。
服用中に体調の変化が生じた場合は、処方を受けた歯科医院や医療機関へ相談してください。
喫煙や飲酒、激しい運動を控える
抜歯後は、歯科医師から指示された期間、飲酒や激しい運動などを控えましょう。
特に抜歯当日は、血流が促されることで再出血や痛みにつながる可能性があるため、長時間の入浴も避けることが推奨されます。
また、喫煙は傷口の治癒に影響するため控えることが大切です。
再開してよい時期は抜歯の難易度や経過によって異なるため、歯科医師から受けた指示を優先し、判断に迷う場合は確認を取りましょう。
親知らずの抜糸後に痛みがある場合の対処法

抜糸を終えた後も、傷口は回復の途中にあります。
痛みが残るときの基本的な対応を押さえておきましょう。
傷口を必要以上に触らない
抜糸後も、傷口を必要以上に触らないことが大切です。
糸が取れたことで治癒が完了したように感じられますが、歯ぐきの内部では組織の修復が続いています。
舌や指で状態を確かめ続けると、その刺激が痛みや炎症の原因になりかねません。
傷口を必要以上に触らず、歯科医院から指示された方法でケアしてください。
痛みや腫れなど気になる症状がある場合は、次回の受診を待たず歯科医院へ相談しましょう。
痛み止めは歯科医師の指示に従って服用する
痛みが残る場合は、歯科医師の指示に従って鎮痛薬を服用します。
処方薬が手元にあるときは、用法・用量を守ることが前提です。
市販薬を使用する場合や、服用中の薬との併用に不安がある場合は、歯科医師や薬剤師へ確認してください。
鎮痛薬を服用しても強い痛みが続く場合は、歯科医院への相談が必要です。
鎮痛薬を使っても痛みが引かないときは、傷口に別の問題が生じている可能性も考えられます。
食事では患部への刺激を避ける
食事の際は、患部への刺激を抑える工夫が有効です。
硬い食べ物や刺激の強い料理、極端に熱いものは傷口への刺激となるため、抜糸後しばらくは控えましょう。
食べる際は傷口の反対側で噛むようにし、患部に食片が入り込まないよう意識しましょう。
傷口の状態を確認しながら、徐々に通常の食事へ戻していきます。
口の中を清潔に保つ
痛みがあるときこそ、口の中を清潔に保つことが重要になります。
汚れが残った状態は細菌の繁殖を招き、治癒を妨げる要因となるためです。
傷口を強く磨く必要はありませんが、その周囲の歯は通常どおり丁寧に清掃しましょう。
歯科医院から洗口剤の使用や特定の清掃方法について指示がある場合は、その内容に従ってください。
傷口を刺激しない範囲で口腔内を清潔に保つことが大切です。
抜糸後も痛いときに歯科医院へ相談したほうがよい症状

痛みが自然に和らがないときは、早めの相談が安心につながります。
目安となる症状は、以下の4つです。
- 痛みが強くなっている
- 腫れが強くなっている
- 海や強い口臭などがある
痛みが強くなっている
時間の経過とともに痛みが強まっている場合は、早めに歯科医院へ相談してください。
抜歯後の痛みは、通常は時間の経過とともに徐々に軽減していきます。
いったん軽減した痛みが再び強くなる場合や、強い痛みが続く場合は、傷口に問題が生じていないか歯科医院で確認してもらいましょう。
鎮痛薬を服用しても強い痛みが続くときも同様に、様子を見続けず連絡することをおすすめします。
腫れが強くなっている
腫れの経過も、判断の手がかりになります。
抜歯後の腫れは、一般に術後2~3日程度で強くなり、その後は徐々に軽減していきます。
いったん落ち着いた腫れが再び強くなる場合や、腫れが引かないまま長期間続く場合には、確認が必要と考えられます。
口が開けにくい、飲み込むときに違和感があるといった症状を伴うときは、早急な対応が求められることもあります。
膿や強い口臭などがある
傷口から膿が出る、発熱を伴う、腫れや痛みが悪化するといった場合は、感染などの可能性があるため歯科医院への相談が必要です。
強い口臭が続く場合も、傷口の状態を確認してもらいましょう。
放置すると症状が広がるおそれがあるため、自己判断で様子を見続けることは避けてください。
発熱を伴う場合は、体への負担も大きくなります。
こうした症状に気づいたときは、できるだけ早く抜歯を受けた歯科医院へ連絡し、指示を仰ぎましょう。
出血がなかなか止まらない
出血の性質を見極めることも大切です。
抜糸後にわずかな血がにじむ程度であれば、通常の経過の範囲と考えられます。
一方、口の中に血がたまり続ける、ガーゼで圧迫しても出血が続くといった場合は、歯科医院へ相談してください。
強いうがいは止血を妨げるおそれがあるため避け、清潔なガーゼを噛んで圧迫しても出血が続く場合は、歯科医院へ連絡してください。
関連記事:親知らず抜歯後が「死ぬほど痛い」と感じるのは普通?痛みのピークと受診目安
親知らずの抜糸に関するよくある質問

最後に、抜糸について多く寄せられる質問にお答えします。
親知らずの抜糸は何分くらいかかりますか?
抜糸に要する時間は、傷口の状態や縫合した糸の本数によって異なります。
糸を切って取り除く処置自体は短時間で完了することが多いものの、傷口の診察や説明を含めた全体の所要時間はケースごとに変わります。
診察を含めた所要時間を知りたい場合は、予約時に歯科医院へ確認してください。
親知らずの抜糸で麻酔をお願いできますか?
痛みへの不安が強い場合は、抜糸の前に遠慮なく相談してください。
麻酔を用いるかどうかは、傷口の状態や炎症の有無などをふまえて歯科医師が判断します。
痛みへの不安が強い場合は、処置前に歯科医師へ伝えておきましょう。
過去の抜歯や抜糸で強い痛みを感じた経験がある場合は、その内容も事前に伝えてください。
抜糸後はすぐに食事できますか?
抜糸後の食事の可否は、傷口の状態や処置内容によって異なります。
麻酔を使用した場合は、口の中の感覚が戻ってから食事をとりましょう。
基本的な考え方は、患部への刺激を避けることです。
硬いものや熱いものは控え、傷口の反対側で噛むといった工夫を取り入れましょう。
歯科医院から具体的な指示があった場合には、その内容を優先してください。
抜糸する前に糸が取れてしまっても大丈夫ですか?
抜糸の前に糸が外れた場合の対応は、傷口の治り具合によって変わります。
治癒が進んでいれば問題とならないこともありますが、まだ傷口が閉じきっていない段階では確認が必要です。
取れた糸を戻そうとしたり、残った糸を自分で引っ張ったりする行為は避けてください。
まずは抜歯を受けた歯科医院へ連絡し、来院の要否を確認しましょう。
茂木院長の総評|親知らずの抜糸が痛かった場合も症状の経過を確認しよう
親知らずの抜糸では、糸を取り除く際に一時的な痛みや違和感を覚えることがあります。
抜糸後は、痛みや腫れが悪化していないか経過を確認することが大切です。
痛みや腫れが強くなる場合や、膿・発熱などの症状を伴う場合は、早めに歯科医院へ相談してください。
新宿区高田馬場の「歯科ハミール高田88」では、必要に応じて歯科用CTによる診査を行い、親知らずの抜歯や術後の消毒、抜糸、経過観察に対応しています。
口腔外科専門医が在籍しており、完全埋伏歯や下顎管に近接した親知らずなど、難易度の高い症例についても相談可能です。抜歯の難易度や術式、費用、リスクについて説明し、同意を得たうえで治療を進めています。
抜糸後の痛みが続いている方や、親知らずの状態が気になる方は、ご相談ください。
