歯が痛い時の応急処置と薬の選び方|市販薬・治療の前にやるべきこと
歯の痛みは「我慢できるレベル」ではありません。
特に夜間や休日など、すぐに歯科を受診できないタイミングに起きると、日常生活に大きな支障をきたします。
実際、急性歯髄炎による痛みは骨折や陣痛に匹敵するといわれるほど強く「朝まで耐えなければならないのか…」と不安な夜を過ごした方も少なくないでしょう。
医学的な痛みのスケールでの比較
| 痛みの種類 | 一般的な痛みの強さ (VASスケール) |
歯の痛みとの比較例 |
|---|---|---|
| 軽い打撲 | 1~3 | 歯の痛みはこれよりはるかに強い |
| 片頭痛 | 4~7 | 強い歯痛は片頭痛より強いことが多い |
| 骨折 | 7~10 | 急性歯髄炎の痛みは骨折と同等かそれ以上 |
| 陣痛 | 8~10 | 急性歯痛は陣痛と同じくらい、またはそれ以上と感じる人もいる |
※VASスケール:0(痛みなし)~10(耐えがたい痛み)で自己評価する方法です。
こうした痛みを放置すれば悪化することもあるため、適切な応急処置や市販薬での対処が重要です。
本記事では、歯の痛みの原因や対処法をわかりやすく解説します。いざという時に備えて、ぜひ参考にしてください。
参照:
- 日本ペインクリニック学会「痛みの診断と評価」
痛みの強さを評価するためのVASスケールやNRS、VRSなど複数の方法について詳しく解説されています。 - J-STAGE「ICD-11時代のペインクリニック―国際疼痛学会(IASP)慢性疼痛分類の解説」
痛みの強さの分類(NRSやVASによる数値基準)や臨床での痛み評価の目安が掲載されています。
すぐにできる歯痛対処法5選|応急処置で痛みを和らげる
歯が痛くなったときに、まず試してほしいのが「応急処置」です。
応急処置はあくまで一時的な対応ですが、正しく行えば痛みをやわらげることができます。
ここでは、すぐにできる5つの方法をご紹介します。
歯に詰まった食べ物を取り除く
食べ物が歯のすき間や虫歯の穴に詰まっていると、神経を圧迫して痛みが強くなることがあります。
やわらかめの歯ブラシやデンタルフロスを使い、優しく取り除くようにしましょう。
楊枝で強くこすったり、無理にかき出そうとするのは逆効果になるため避けてください。
塩水でうがいをする
ぬるま湯に食塩を少し溶かした塩水でうがいをすると、口腔内の雑菌を洗い流し、炎症を抑える効果が期待できます。
殺菌力のある市販のうがい薬でもよいですが、刺激が強すぎるものは避けてください。
痛む部分を冷やす
冷たいタオルや保冷剤を、頬の外側から当てて冷やしましょう。
炎症による痛みをやわらげる効果があります。保冷剤を使う場合は、ガーゼなどで包み、直接肌に当てないように注意してください。
市販の鎮痛薬を服用する
市販のロキソニンやバファリンなどの鎮痛薬には、歯の神経の炎症を抑える作用があります。
ただし、用法・用量を守り、必ず食後に服用するのが基本です。空腹時に飲むと、胃に負担がかかることがあります。
また、妊娠中の方や持病がある方は、服用前に薬剤師や医師に相談するようにしましょう。
ツボ押しや軽いマッサージで緊張をゆるめる
歯の痛みには、「合谷(ごうこく)」と呼ばれるツボが効果的とされています。
親指と人差し指の間にあるこのツボを、軽く押しながら深呼吸をすると、リラックス効果が期待できます。
ただし、ツボ押しはあくまで一時的な対処法です。
根本的な痛みの改善にはつながらないため、症状が続く場合は歯科医院を受診しましょう。
関連記事:虫歯じゃないのに奥歯が痛い?考えられる原因9つと今すぐできる対処法
症状別に選ぶ!市販薬のおすすめランキング3選
「歯がズキズキしてつらい…でも今すぐ歯医者に行けない」そんなときに頼れるのが市販の鎮痛薬です。
正しく選べば、一時的に痛みをやわらげる強い味方になります。
ここでは、歯の痛みに効果的な市販薬を「症状別」にランキング形式で紹介します。
どれを選べばよいか迷っている方は、まずこの3つから検討してみてください。
1位|ロキソニンS(ロキソプロフェン)
即効性重視の方におすすめ!
ズキズキと強い痛みがあるときに、まず候補に挙がるのがロキソニンSです。
鎮痛効果が高く、炎症を伴う歯の痛みに特に有効です。
多くの歯科医が「最も即効性のある市販薬」として推奨しています。
ただし、胃腸への負担があるため、必ず食後に服用しましょう。
妊娠後期の方や腎機能に不安がある方は、使用を避けてください。
2位|タイレノールA(アセトアミノフェン)
胃が弱い方・妊婦さんにも安心して使える薬です。
軽度〜中等度の歯の痛みや、NSAIDs(ロキソニンなど)が使えない方には、タイレノールAがおすすめです。
胃への刺激が少なく、副作用も比較的少ないため、妊娠中や授乳中の方にも使用されています。
ただし、肝臓に負担がかかることがあるため、肝機能障害のある方は注意が必要です。
3位|デンタルクリームT・今治水(外用薬)
「薬はなるべく飲みたくない」「ピンポイントで痛みを抑えたい」
そんなときに役立つのが、直接患部に塗るタイプの外用薬です。
歯ぐきの腫れや局所的な痛みに即効性があり、妊娠中など全身への影響を避けたい方にも向いています。
ただし、広範囲への使用や長期間の使用は避けるようにしましょう。
市販薬の比較表|症状・特徴・注意点を一目でチェック
どの薬が自分に合うかわからないときは、以下の比較表を参考にしてみてください。
症状・特長・注意点をコンパクトにまとめているので、比較しながら自分に合う薬が見つけやすくなります。
| 商品名と原材料 | おすすめの症状 | 特長・効果 | 注意が必要な人 |
|---|---|---|---|
| ロキソニンS(ロキソプロフェン) | 強い歯の痛み/炎症がある場合 | 即効性が高く、強い鎮痛+抗炎症作用。食後の服用推奨。 | 胃腸が弱い人/妊娠後期/胃機能に不安がある人 |
| イブA錠(イブプロフェン) | 中程度の歯の痛み/炎症を伴う痛み | 鎮痛+抗炎症。生理痛・頭痛にも使える。 | 胃腸が弱い人/妊娠後期 |
| タイレノールA(アセトアミノフェン) | 軽~中程度の痛み/妊婦・小児の使用 | 胃への負担が少なく、副作用が比較的少ない。 | 肝機能障害がある人/アレルギー歴がある人 |
| バファリン(アスピリン等) | 軽~中程度の歯の痛み | 鎮痛+解熱作用あり。胃への刺激がやや強め。 | 胃腸が弱い人/喘息持ち/妊娠後期 |
| デンタルクリームT・今治水(外用薬) | 歯ぐきの腫れや局所的な痛み | 患部に直接塗って即効性あり。飲み薬に抵抗がある人にも◎ | 成分にアレルギーがある人 |
市販薬を使うときの注意点
- NSAIDs(ロキソニン・イブ・バファリンなど)は、胃炎・胃潰瘍・腎機能障害・妊娠後期の方には避けましょう。
- アセトアミノフェン系(タイレノールなど)は、肝機能障害や過去にアレルギー歴がある方は注意が必要です。
- 他の薬を服用中の方や持病がある方は、必ず薬剤師や医師に相談しましょう。
市販薬はあくまで一時的な対処法です。痛みが続く場合や悪化する場合は、早めに歯科を受診してください。
関連記事:【保存版】親知らず抜歯後の痛みに耐えられないときの対処法7選
歯が痛い時に食べやすい食事と避けたい食べ物
歯が痛いとき「何を食べたらいいのか分からない…」と悩んだ経験はありませんか?
無理に噛んだり、刺激の強いものを口にしたりすると、かえって痛みがひどくなることもあります。
ここでは、歯にやさしい食事の選び方と、避けた方がよい食品についてやさしく解説します。
食べる工夫を知っておくことで、つらい時間を少しでも快適に過ごせるようになるでしょう。
痛みを悪化させない!食事選びのポイント
歯が痛いときは、以下の3点を意識して食事を選びましょう。
- やわらかい(噛まずに食べられる)
- 刺激が少ない(熱すぎ・冷たすぎ・味が濃すぎない)
- 栄養がとれる(タンパク質・ビタミンを含む)
たとえば、おかゆ・うどん・茶碗蒸し・豆腐などが代表的なメニューです。
また、ポタージュやヨーグルト、スムージーのような液体系の食品も、食べやすくておすすめです。
コンビニでそろう 「歯にやさしい食品」
外出先や忙しいときでも、コンビニを活用すれば歯にやさしい食事を簡単にそろえることができます。
以下に、ジャンル別のおすすめ食品をまとめました。
| 主食 | おかず副菜 | その他 |
|---|---|---|
| おかゆ(レトルト) | 茶碗蒸し | ゼリー飲料 |
| うどん(冷凍チルド) | 冷奴 | プレーンヨーグルト |
| ドリア | ハンバーグ(柔らかめ) | ところてん |
| リゾット | 温泉卵 | プリン |
| 蒸しパン(柔らかい) | 焼き魚(ほぐし身) | スムージー |
| カップスープ | ポタージュ | ― |
※具材が大きい場合は「つぶす」「薄味にする」などの工夫をするとさらに食べやすくなります。
控えたい食べ物|歯に刺激を与える7つのタイプ
痛みを感じているときは、以下のような食品はできるだけ避けましょう。
| 避けたい食品のタイプ | 例 |
|---|---|
| 硬いもの | せんべい ナッツ フランスパンなど |
| 噛みごたえがある | ごぼう 生野菜 焼肉など |
| 甘すぎるもの | キャンディー チョコレート ケーキなど |
| 酸味が強いもの | 柑橘類 (レモン グレープフルーツなど) |
| 辛いもの・刺激物 | キムチ 唐辛子 スパイスの効いたカレーなど |
| 熱すぎる/冷たすぎるもの | 舌や歯に刺激を与える |
| アルコール類 | 血流を促進し、炎症が悪化することも |
関連記事:親知らず抜歯後のおすすめの食事7選|【高田馬場|歯科ハミール高田88 赤崎 公星院長 監修】
無理をせず、必要なら早めの受診を
「噛まなくていい」「刺激が少ない」「栄養がとれる」
この3つが歯の痛みがあるときの食事の鉄則です。
それでも食事がつらいほど痛む場合は、無理せず歯科医院の受診を検討しましょう。
応急処置や市販薬とあわせて、食事の工夫も取り入れることで痛みをやわらげるサポートになります。
歯痛を悪化させるNG習慣|やりがちな3つの行動に注意

歯が痛いとき、「どうにかこの痛みをごまかしたい」と思ってとる行動が、実は逆効果になることがあります。
ここでは、ついやってしまいがちな3つのNG習慣と、その理由を解説します。
1. アルコール・タバコ・コーヒーは控えて
お酒やタバコ、コーヒーなどには、血流を促す作用があります。血流が活発になると、そのぶん炎症が広がりやすくなり、痛みも強く感じやすくなってしまいます。
なかでも注意したいのがアルコールです。出血を促進したり、服用中の薬の効果を弱めたりするリスクがあります。
また、コーヒーに含まれるカフェインも刺激が強く、神経を敏感にさせて痛みを悪化させることがあるため、控えましょう。
2. 気になるからといって、触らない!
歯が気になるとき、無意識に舌や指で触れてしまうことがあります。
ですが、こうした行動は炎症を刺激してしまうため、痛みがひどくなる原因となります。
食事をする際も、痛む側の歯ではなく、反対側の歯でやさしく噛むように心がけましょう。
3. 長風呂や激しい運動は痛みを増幅させることも
痛みから気を紛らわせるために体を動かしたり、湯船にゆっくり浸かったりしたくなるかもしれません。
しかし、こうした行動は体温を上昇させて血流を活発にするため、炎症や痛みが悪化する原因になります。
サウナや長風呂、激しい運動などは避け、できるだけ安静に過ごすようにしましょう。
「冷やす・休む・刺激を避ける」が基本です
歯の痛みを少しでもやわらげるためには、刺激を与えず、身体を落ち着かせることが何よりも大切です。
一時的に痛みがやわらいだとしても、原因の解消にはなっていません。
できるだけ早めに歯科医院を受診しましょう。
こんなときはすぐ歯医者へ!見逃せない5つの症状

歯の痛みには、市販薬で様子を見てよいケースもあれば、できるだけ早く歯科を受診すべきケースもあります。
特に、以下のような症状がある場合は注意が必要です。
夜も眠れないほどの激しい痛み
ズキズキと脈打つような痛みが続くときは、神経や歯の根に炎症が起きているかもしれません。
夜間でも痛みが収まらない場合は、我慢せず歯科を受診しましょう。
顔が腫れている・膿が出ている
頬の腫れや歯ぐきからの膿は、感染が進行しているサインです。
この状態を放置すると、炎症が広がり、全身に影響を及ぼすこともあります。
市販薬が効かない、または痛みを繰り返す
鎮痛薬を飲んでも効かない、あるいは一度収まっても痛みが再発するようなら、根本的な原因が解決していない可能性があります。
薬でごまかさず、早めの診断を受けましょう。
温かいものもしみる
冷たいものだけでなく、温かい飲み物にも歯がしみる場合は、神経が深くダメージを受けているおそれがあります。
そのままにしておくと、神経が壊死してしまうかもしれません。
歯ぐきがブヨブヨ・押すと痛い
歯ぐきに腫れや圧痛がある場合は、歯周病や根尖性歯周炎が進行している可能性があります。
早めに治療すれば、抜歯を避けられるケースも少なくありません。
迷ったら迷ったときは、まずは歯科医院に相談を
「受診すべきかどうか分からない…」と迷ったときは、無理に判断せず、まずは歯科医院に電話で相談してみましょう。
症状を伝えるだけでも、受診のタイミングや緊急度についてアドバイスがもらえるはずです。
関連記事:【歯周病】放置によるリスク(歯の喪失・全身疾患への影響)
歯痛を繰り返さないためのセルフケアと予防習慣

「痛みが治まったから、もう大丈夫」と思っていませんか?
そんな油断が、再発の引き金になることもあります。
歯の痛みはぶり返しやすい悩みのひとつです。症状が落ち着いた後こそ、日常のケアが重要です。
ここでは、歯痛を繰り返さないために意識したいセルフケアと予防習慣をご紹介します。
正しい歯磨きとフロスで、磨き残しを防ぐ
歯磨きの基本は、時間よりも磨き方と道具選びにあります。
毛先のやわらかい歯ブラシを使い、歯と歯ぐきの境目をやさしくなぞるように磨いてみましょう。
歯と歯の間には、歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシの使用も欠かせません。
特に寝る前のケアは、丁寧に時間をかけて行うことをおすすめします。
「毎日磨いているのに虫歯になった」という方は、磨き残しが原因かもしれません。
奥歯の噛み合わせ部分や歯と歯のすき間、歯並びが重なっている部分などは、プラーク(歯垢)がたまりやすい要注意ゾーンです。
鏡を見ながら、意識的に磨いていきましょう。
歯磨き粉の選び方も、予防のポイント
歯の痛みを防ぐには、症状に合った歯磨き粉を選びましょう。
たとえば、冷たいものがしみる知覚過敏がある方には、「硝酸カリウム」や「乳酸アルミニウム」が配合されたタイプ(シュミテクトなど)が有効です。
一方で、虫歯を予防したい場合は、フッ素濃度が1,450ppm以上のものを選ぶと再石灰化が促され、虫歯になりにくい口内環境が整います。
ただし、美白効果や強い研磨作用をうたう製品は、刺激が強く痛みを悪化させることもあります。
歯や歯ぐきにやさしい成分かどうかをチェックして選びましょう。
歯科のプロによるチェックを習慣に
セルフケアを徹底していても、自分では取りきれない汚れや気づけない症状は少なくありません。
だからこそ、定期的な歯科検診を受けることが、再発防止には不可欠です。
検診では、虫歯や歯周病の初期サインが見つかるだけでなく、歯石の除去や磨きグセのアドバイスも受けられます。
噛み合わせや詰め物の異常にも気づいてもらえるため、トラブルの早期発見・早期対応につながります。
目安としては、3〜6か月に1度の受診を心がけましょう。
「痛くなってから行く」のではなく、「痛くなる前に通う」ことが、歯痛を未然に防ぐ最善策です。
歯の痛みのない日々を目指して
毎日のセルフケアと定期的なチェックを重ねることで、歯の痛みに悩まされない日常が手に入ります。
小さな習慣の積み重ねが、未来の自分を守る第一歩です。今からできることを、少しずつ始めていきましょう。
関連記事:歯のクリーニング、やりすぎNG!適切頻度と費用を解説
まとめ|歯が痛いときは、応急処置と的確な判断が大切です

歯の痛みは、食事や会話、睡眠など日常のあらゆる場面に支障をきたすつらい症状のひとつです。
そんなときに慌てず対処するためには、痛みをやわらげる応急処置や、自分の体質や症状に合った市販薬を正しく選ぶことが重要です。
また、無理に噛まずに食べられるやさしい食事を心がけるだけでも、負担を減らし痛みの悪化を防ぐことができます。
一方で、知らずにやってしまいがちな生活習慣や食べ物の選び方が、炎症を悪化させてしまうこともあるため注意が必要です。
ただし、市販薬やセルフケアはあくまでも一時的な対処にすぎません。
痛みが続いたり、症状が繰り返したりする場合は、早めに歯科を受診することが何より大切です。
日々の丁寧なセルフケアと、適切なタイミングでの受診を習慣づけることで、歯の痛みに悩まされない健やかな日常を手に入れましょう。