親知らずが臭いのはなぜ?原因とセルフケア・抜歯後の対処法まで解説
「親知らずのあたりが臭う気がする」「奥歯のさらに奥から嫌なにおいがする」と気になっていませんか。
親知らずは口の一番奥にあって歯みがきが届きにくく、汚れや細菌がたまって口臭の原因になりやすい歯です。
本記事では、親知らずが臭う原因や自分でできる対策、受診を検討すべきサイン、さらに抜歯後に臭いが出る理由とケアまでをわかりやすく解説します。

親知らずが臭いの原因になりやすいのはなぜ?
主な理由は、口の奥に位置し、十分に清掃しにくいことです。
まずは、においが発生しやすい背景を整理しましょう。
一番奥にあり歯ブラシが届きにくいから
親知らずは歯列のもっとも奥に位置するため、歯ブラシの毛先が届きにくい歯です。
特に、斜めや横向きに生えている場合は、ブラシを的確に当てること自体が難しくなります。
磨き残しが積み重なると、細菌の繁殖によって特有のにおいが発生することがあります。。
奥まで意識して磨いているつもりでも、実際には汚れが残っているケースは少なくありません。
歯ぐきとのすき間に汚れ・細菌がたまりやすいから
親知らずは、歯ぐきから一部だけ顔を出した状態で止まることがあります。
この歯と歯ぐきの間にできるすき間には、食べかすやプラーク(歯垢)が入り込みやすく、細菌にとって格好のすみかとなります。
すき間は歯ブラシが届きにくいうえ、唾液による自浄作用も働きにくい部分です。
汚れが停滞して細菌が増えることで、においが強まっていきます。
「ドブのようなにおい」「膿のようなにおい」と感じることも
親知らず周辺の臭いは、独特の不快さを伴うことがあります。
細菌が汚れを分解する過程で発生するガスにより、「ドブのようなにおい」「膿のようなにおい」と表現される強いにおいを感じる場合も。
フロスや歯間ブラシを通したときに、器具へ嫌なにおいが付着して初めて気づく方もいます。
周囲から口臭を指摘されて気づくケースも見られます。
親知らずが臭う4つの主な原因

親知らずのにおいには、いくつかの典型的な原因があります。
代表的なものは以下の4つです。
- 食べかす・プラーク(歯垢)の蓄積
- 智歯周囲炎(ちししゅういえん)による炎症・膿
- 親知らずや手前の歯のむし歯
- 歯周病による歯ぐきのトラブル
| 原因 | 主な状態 | 伴いやすい症状 | 主な対応 |
|---|---|---|---|
| 食べかす・プラークの蓄積 | 親知らず周辺に汚れが残っている | 口臭、フロスにつく臭い | 丁寧なブラッシング、フロス |
| 智歯周囲炎 | 親知らず周辺の歯ぐきが炎症を起こしている | 腫れ、痛み、膿、不快な味 | 洗浄、炎症への処置、必要に応じて抜歯 |
| 虫歯 | 親知らずや手前の歯に虫歯がある | 口臭、痛み、食べ物が詰まる | 虫歯治療、状態により抜歯 |
| 歯周病 | 歯ぐきや歯を支える組織に炎症がある | 出血、腫れ、慢性的な口臭 | 歯周病治療、クリーニング |
それぞれ対応が異なるため、順に確認しましょう。
食べかす・プラーク(歯垢)の蓄積
主な原因の一つが、食べかすやプラークが溜まることです。
親知らずの周辺は清掃しにくく、汚れが長くとどまりやすい環境です。
残った汚れをエサに細菌が増殖し、においのもととなるガスを発生させます。
汚れの蓄積が主な原因であれば、丁寧なセルフケアによってにおいが軽減する場合があります。
まずは日々の清掃状態を見直しましょう。
智歯周囲炎(ちししゅういえん)による炎症・膿
親知らずの周囲で細菌が繁殖すると、歯ぐきに炎症が起こることがあります。この状態は「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」と呼ばれ、腫れや痛みが生じるほか、膿が出て強いにおいを伴うこともあります。
膿が排出されることで、不快な味やにおいを感じることがあるのです。
症状が一度治まっても、原因となる汚れや親知らずの生え方が変わらなければ、炎症を繰り返すことがあります。
親知らずや手前の歯のむし歯
清掃しにくい親知らずは、むし歯にもなりやすい歯です。
さらに、親知らずと手前の歯(第二大臼歯)の間にも汚れがたまり、手前の歯にもむし歯ができることがあります。
むし歯が進行して歯に穴があくと、食べかすや細菌がたまり、においの原因になることがあります。
歯と歯の間のむし歯は発見が遅れやすい点にも、注意が必要です。
歯周病による歯ぐきのトラブル
プラークがたまった状態が続くと、歯ぐきに炎症が起こり、進行すると歯を支える骨が失われることがあります。
こうした歯周組織の炎症性疾患が歯周病です。
歯周病が進行すると、細菌が産生する揮発性硫黄化合物などにより、口臭が強くなることがあります。
親知らずの周囲は歯周病が進行しやすい環境であり、放置すると手前の歯の歯周組織まで巻き込むおそれも。慢性的な口臭にもつながります。
自分でできる親知らずの臭い対策

親知らずのにおいは、汚れが原因であればセルフケアで軽減できる場合があります。
対策の基本は、親知らずの周辺を丁寧に清掃し、口腔内の乾燥を防ぐことです。
ただし、セルフケアだけでは対応しきれないケースもあります。
小さめの歯ブラシで奥までていねいに磨く
親知らずを磨く際は、ヘッドの小さい歯ブラシを使用すると、奥まで毛先を届かせやすくなります。
大きなブラシでは奥まで届きにくく、毛先を的確に当てられません。
ブラシを斜めに差し入れ、親知らずの外側・内側・かみ合わせ面を意識して一本ずつ磨くことがポイントです。
ワンタフトブラシ(部分磨き用の小さなブラシ)を併用すると、届きにくい奥もより清掃しやすくなります。
フロス・歯間ブラシですき間の汚れを落とす
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは十分に落とせません。
親知らずと手前の歯のすき間には、フロスや歯間ブラシを使った清掃が大切です。
すき間にたまった汚れを取り除くことで、においの発生源そのものを減らせます。
使用後のフロスや歯間ブラシに強いにおいが付く場合は、その部分に汚れが残っている可能性があります。
食後のうがい・水分補給で口の乾燥を防ぐ
食後に軽くうがいをすると、口の中に残った食べかすをある程度洗い流せます。
また、口の中の乾燥も、においを強める要因の一つです。
唾液には汚れや細菌を洗い流す作用があるため、こまめな水分補給で口内をうるおすことがにおいの軽減につながります。
口呼吸が多い方は乾燥しやすいため、意識して鼻呼吸を心がけることをおすすめします。
セルフケアで消えない臭いは要注意
ていねいにケアをしても臭いが続く場合は、注意が必要です。
汚れ以外の原因、たとえば智歯周囲炎やむし歯、歯周病などがひそんでいる可能性があります。
これらはセルフケアだけで改善することが難しく、放置すれば悪化するおそれも。セルフケアを続けても改善しない場合は、早めに歯科医院で原因を確認しましょう。
こんな症状は歯科医院へ|受診を検討すべきサイン

親知らずのにおいには、専門的な対応が必要なサインがあります。
結論として、膿や腫れ、痛みを伴う場合や、ケアをしても臭いが続く場合は、早めの受診が推奨されます。
見逃したくない症状を確認しましょう。
膿のような味・においが続く
口の中に膿のような味やにおいを感じる場合は、注意が必要です。
親知らずの周囲で炎症や感染が起こり、膿が生じている可能性があり、智歯周囲炎では、腫れや痛みに加えて不快な味やにおいを伴うこともあります。
市販の洗口液で一時的ににおいが軽減しても、原因が解消されなければ症状を繰り返す可能性があります。
早めに歯科医院で確認しましょう。
歯ぐきの腫れや痛みを繰り返す
親知らずの周囲の歯ぐきが腫れる、痛むといった症状を繰り返す場合も、受診の目安です。
炎症が慢性化している可能性があり、放置すると腫れが強まって口を開けにくくなることもあります。
症状が一時的に落ち着いても、原因が残っていると再発する可能性があります。
腫れや痛みを繰り返す場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
痛みがなくても臭いだけが続く場合
痛みがないからといって、安心はできません。
親知らずや手前の歯のむし歯は、痛みがないまま進行することがあります。
また、軽い炎症では痛みを自覚しない場合もあります。臭いだけが続く状態は、目に見えない部分で問題が進んでいるサインかもしれません。
目視だけでは確認しにくいむし歯や親知らずの位置が、レントゲン検査によって確認できる場合もあります。
においが続く場合は、歯科医院へ相談しましょう。
歯科医院で行う親知らずの臭いへの対応

歯科医院で行うにおいの原因に応じた対応は、以下のとおりです。
- レントゲン・CTによる原因の確認
- 親知らず周囲のクリーニング
- 抜歯が必要かどうかの判断
自宅では届かない部分のケアを受けられる点が、大きなメリットです。
レントゲン・CTによる原因の確認
歯科医院では、まずレントゲン撮影で親知らずの生え方やむし歯の有無、周囲の骨の状態を確認します。
状態によっては、立体的に把握できるCT検査を併用することもあります。
むし歯や炎症の有無、親知らずの生え方などを確認し、においの原因に応じて治療方針を検討します。正確な診断が大切です。
親知らず周囲のクリーニング
炎症や汚れの蓄積がみられる場合は、親知らずと歯ぐきの間を洗浄し、周囲のプラークや歯石を除去します。
歯ぐきのすき間にたまった汚れや細菌を専門的な器具で除去することで、においのもとを取り除きます。
自宅のセルフケアでは届きにくい部分もケアできる点が特長。
炎症や感染の状態に応じて、薬が処方される場合もあります。
抜歯が必要かどうかの判断
繰り返す炎症や進行したむし歯など、トラブルの原因が親知らずそのものにある場合は、抜歯が検討されます。
一方で、まっすぐ生えていて清掃が可能なケースなどでは、経過観察となることも。抜歯の要否は歯の状態によって異なります。
関連記事:親知らずの抜歯で保険はおりる?健康保険と民間保険の違い・給付条件を解説
親知らずを抜いた後に臭いがするのはなぜ?

親知らずを抜いた後に、口の中のにおいが気になる方は少なくありません。
抜歯後は、傷口に残る血液や食べかすなどによって、一時的ににおいが気になることがあります。
一方、強い痛みや膿を伴う場合は注意が必要です。
ただし、なかには注意が必要なケースもあるため、見分け方を知っておきましょう。
| 状態 | 一時的にみられることがある症状 | 注意したい症状 |
|---|---|---|
| 臭い・味 | 血液や滲出液による普段と異なる味・臭い | 強い口臭、膿のような味 |
| 痛み | 抜歯後に生じ、徐々に軽くなる | 数日後に痛みが強まる |
| 腫れ | 術後に腫れが生じることがある | 腫れが悪化する、長引く |
| 全身状態 | 特に変化がない | 発熱、強い倦怠感 |
| 傷口 | 血餅が形成されている | 血餅が失われ、骨が露出している可能性 |
血餅(けっぺい)による一時的なにおい
抜歯後の穴には、血液が固まった「血餅(けっぺい)」が形成されます。
抜歯後は、傷口に残った血液や滲出液などにより、普段とは異なる味やにおいを感じる場合があります。
ただし、においが強まる、強い痛みや膿を伴うといった場合は、抜歯を受けた歯科医院へ相談してください。
抜歯窩(ばっしか)に食べかすがたまる
抜歯後には、歯があった部分に「抜歯窩(ばっしか)」と呼ばれるくぼみができます。
治癒が進むまでの間は、抜歯窩に食べかすが入り込むことがあり、においの原因になる場合があります。
抜歯直後は傷口を刺激しないよう強い清掃を控えるため、汚れが停滞しやすい時期です。
抜歯直後は患部を刺激しないよう、歯科医師の指示に従って食事や口腔ケアを行いましょう。
ドライソケット・感染のサインに注意
抜歯後に血餅が十分に形成されない、または早期にはがれると、抜歯窩の骨が露出するドライソケットが生じることがあります。
ドライソケットでは、抜歯から2~5日ほど経過した頃に、痛みが強くなる、または強い痛みが続くことが特徴です。
不快な味や口臭を伴う場合もあり、さらに膿や発熱、腫れの悪化などがみられる場合は、感染が起きている可能性があります。
抜歯後の臭いを防ぐためのケアと注意点

抜歯後のにおいは、適切なケアで予防・軽減できます。
大切なのは「傷口を安静に保つこと」と「清潔を保つこと」の両立です。
やりすぎも逆効果になるため、バランスの取れたケアを心がけましょう。
強いうがいを避け、傷口を安静に保つ
においが気になっても、強いうがいは禁物です。
勢いよくすすぐと、傷口を守る血餅がはがれ、ドライソケットを招くおそれがあります。
抜歯当日は必要以上のうがいを避け、翌日以降は傷口を刺激しないよう静かに行いましょう。
洗口液を使用する場合は、使用を開始する時期や製品について、抜歯を担当した歯科医師の指示に従いましょう。
やわらかい食事で患部に負担をかけない
抜歯後しばらくは、やわらかく飲み込みやすい食事がすすめられます。
粘着性が高い食品や、硬くて傷口を刺激しやすい食品は、抜歯窩に入り込んだり患部へ負担をかけたりするため、控えましょう。
食事は傷口の反対側で噛むようにし、無理なく通常の食事へ戻していくことが、順調な回復につながります。
臭いや痛みが長引くときは早めに受診を
抜歯後の痛みや違和感は、一般的には時間の経過とともに軽減します。
しかし、数日たっても症状が強まる、発熱を伴う、膿が出るといった場合は、感染などのトラブルが起きている可能性があります。
我慢を続けると悪化するおそれも。気になる症状が長引くときは、自己判断せず、早めに歯科医院へ連絡することが大切です。
関連記事:親知らずの抜歯後はどう過ごす?痛みや腫れ、食事の目安を解説
親知らずの臭いに関するよくある質問

最後に、親知らずのにおいについて多く寄せられる質問にお答えします。
臭いはあるが痛くない場合、抜いたほうがよい?
痛みがなくても、むし歯や炎症が進行していることがあります。
臭いが続く場合は、汚れの蓄積や炎症、むし歯などが関係している可能性も考えられます。
抜歯の要否は歯の状態によって異なるため、まずは歯科医院で状態を確認してもらいましょう。
抜歯後の臭いはいつまで続く?
抜歯後のにおいが続く期間には個人差があり、傷口の状態や食べかすの残留、感染の有無などによって異なります。
においが強くなる場合や、痛み・膿・発熱を伴う場合は、期間にかかわらず歯科医院へ相談しましょう。
それ以上続く場合や、痛み・膿を伴う場合は、一度歯科医院へ相談しましょう。
マウスウォッシュで臭いは消える?
洗口液は、口臭を一時的に軽減する補助となる場合がありますが、原因そのものを取り除くものではありません。
汚れや炎症が残っていれば、においは繰り返します。
根本的な解決には、原因に応じたケアや治療が必要です。
茂木院長の総評|親知らずの臭いは原因の見極めと早めのケアが大切
親知らずの臭いは、清掃の届きにくさによる汚れの蓄積や、智歯周囲炎、むし歯や歯周病など、さまざまな原因で生じます。
セルフケアで軽減できることもありますが、膿や腫れ、痛みを伴う場合や、ケアをしても臭いが続く場合は、専門的な対応が必要です。
また、抜歯後は一時的ににおいが気になることもありますが、においが強まる場合や、強い痛み・膿・発熱を伴う場合は注意が必要です。
自己判断で放置せず、においが続く場合やほかの症状を伴う場合は、歯科医院で原因を確認し、状態に応じた処置を受けましょう。
高田馬場駅から徒歩1分の歯科ハミール高田88では、口腔外科に対応した診療体制のもと、親知らずのにおいや炎症、抜歯後のトラブルまで幅広くご相談いただけます。

この記事を監修した医師
赤崎 公星(あかさき こうせい)
歯科ハミール 理事長・歯科医師|愛知学院大学歯学部卒|厚生労働省認定臨床研修指導医